タイプR技術計算  2000/02/16

圧縮比計算

ギアレシオ計算


圧縮比計算

 シビックタイプRの諸元表(カタログ)を見ると

    総排気量   1595 cc

    内径      81.0 mm

    行程      77.4 mm

    圧縮比    10.8

 ということが解かります。

    総排気量の計算は π/4*81*81*77.4*4=1595.36 cc

 要するに総排気量とはピストンが動く範囲の容積の総和です。(4気筒分)

 圧縮比が10.8ということから、燃焼室容積が解かります。

    燃焼室容積は π/4*81*81*77.4/(10.8-1)=40.70 cc

 ここで、圧縮比のアップを考えると、薄いヘッドガスケットを使用したり、

 ブロックやヘッドのガスケット面を研削したりします。

 その分の燃焼室容積が小さくなり圧縮比が上がります。

 簡易計算として、ブロックのガスケット面を0.3mm研削すると、

    燃焼室容積減少分 π/4*81*81*0.3=1.55 cc

 よって、

    燃焼室容積は 40.70-1.55=39.15 cc

    圧縮比は (π/4*81*81*77.4)/39.15 +1 = 11.2 

 となります。

 こんな簡単に計算できます。

 ただし、これはあくまでも計算であり、実際圧縮比を変更するといろいろな

 ことが問題となります。

 一番大きな問題として、ノッキングです。 オクタン価の高いガソリンであれば

 大丈夫であると思いますが、市販ガソリンでもメーカーのバラツキなどでノッキング

 が発生すると思います。ノックセンサーが正常であれば、コンピューターが点火

 時期をリタード(遅らせる)させるため、エンジンが壊れるようなことはないと思いま

 すが、その分馬力も落ちるでしょう。

 次に、考えられる問題として、ガスケット面を研削したことにより、ピストンとバルブ

 の干渉が考えられます。レース用エンジンであれば各バルブに合わせて逃げ加工

 を行なう為問題ないですが、0.3mm分クリアランスが詰まります。

 たぶんこのぐらいは大丈夫だと思いますが、確認が必要です。


ギアレシオ計算

 シビックタイプRの諸元表(カタログ)を見ると

    変速比  1速    3.230

          2速    2.105

          3速    1.458

          4速    1.107

          5速    0.848

    減速比        4.400

    馬力   185ps/8200rpm

    タイヤ  195/55R15 84v

 ということが解かります。

    タイヤの動荷重半径を調べると 287mm

 よって、上記データより各ギアでの車速を計算すると

 以下のようになります。

1速

2速

3速

4速

5速

0

0

0

0

0

0

500

4

6

8

11

14

1000

8

12

17

22

29

1500

11

18

25

33

43

2000

15

23

34

44

58

2500

19

29

42

56

72

3000

23

35

51

67

87

3500

27

41

59

78

101

4000

30

47

67

89

116

4500

34

53

76

100

130

5000

38

58

84

111

145

5500

42

64

93

122

159

6000

46

70

101

133

174

6500

49

76

110

144 188

7000

53

82

118

155

203

7500

57

88

126

167

217

8000

61

93

135

178

232

8500

65 99 143 189 246

9000

69

105

152

200

261

 この表から解かることは、1速で8500rpmで車速が65km/hになることが

 解かります。そこで2速にシフトアップすると約5500rpmに回転数が落ちます。

 アクセルを踏み込むことにより8500rpmで車速が99km/hになり、3速に

 シフトアップすると約6000rpmに回転数が落ち、加速していくと8500rpmで

 143km/hになり、4速にシフトアップすると6500rpmに回転数が落ち、更に

 加速していくと8500rpmで189km/hになり、5速にシフトアップすると

 6500rpmに回転数が落ち、更に加速していくと8500rpmで246km/hに達します。

 これはあくまでも理論上であります。(空気抵抗、転がり抵抗、勾配抵抗などを無視)

 実際にサーキットなどを走行する場合、最高速度が140km/hであるとしたら、5速

 ミッションなのに3速までしか使えないことが解かります。タイムを短縮しようと

 したら、ギアレシオを変更して有効にミッションを使えるようにしたいですよね!

 そのかわり、変速回数が増えてミスをおかす可能性が増えますがね!

 そこで社外メーカーのギアを購入したり、インテグラタイプRのファイナルギアを

 変更したりします。(量産部品を使いますので安くあがり、信頼性もあります。

 作業はぜひ当社で! 当然改造になりますからメーカー保証対象外になります。)

 ファイナルギアを4.785に変更すると以下のようになります。

1速

2速

3速

4速

5速

0

0

0

0

0

0

500

4

5

8

10

13

1000

7

11

16

20

27

1500

11

16

23

31

40

2000

14

21

31

41

53

2500

18

27

39

51

67

3000

21

32

47

61

80

3500

25

38

54

71

93

4000

28

43

62

82

107

4500

32

48

70

92

120

5000

35

54

78

102

133

5500

39

59

85

112

147

6000

42

64

93

123

160

6500

46

70

101

133 173

7000

49

75

109

143

187

7500

53

81

116

153

200

8000

56

86

124

163

213

8500

60

91

132

174

227

9000

63

97

140

184

240

 全体にギアがショートになりました。1速で約5km/hほどですね!

 このように理論的に考えるとおもしろいですよね。